杉岡幸徳『世界の性習俗』(角川新書、2020年)読了。
本書では、日本人の常識では理解しがたい様々な性習俗が紹介されている。
特に興味深かった結婚制度について紹介したい。
●誘拐婚(キルギス)
中央アジアの小国・キルギス。この国では、女性の約3割が誘拐婚をされていると言われており、その3分の2が、見知らぬ男による誘拐。
まず誘拐婚とはなにか。手順は以下の通りだ。
男が道端で好みの女を見つけると、無理やり車に乗せて連れ去る。
自宅に引きずり込む一方で、それを見た家族たちは、楽しげに結婚式の準備を進める。
男の家族(女性)たちが誘拐された女を夜通しで説得。
最後は納得して、誘拐婚を受け入れる。
最終的に、約8割の女性が誘拐婚を受け入れてしまうという。
●何とでも結婚できる(インド)
インドでは、「木」と結婚する人々がいる。
というのも、インドのある地域では、兄弟間のヒエラルキーが厳しい。必ず長兄から結婚しなければならない。
ただ、長兄がいつまでも結婚できないと、その下の兄弟がずっと結婚できない事態になる。
そこで、長兄を形式的に「木」と結婚させるという。
●一妻多夫制
一夫多妻制ではなく、一妻多夫制を採る民族は、かなり少ないながらも存在する。
ポリネシアのマルケサス島、ヒマラヤのチベット族、南インドのトダ族などだ。
たとえばマルケサス島では、男が女より圧倒的に多いため、一妻多夫制が定着したという。
また、チベット族の場合、ほとんどの夫が兄弟だ。つまり、兄が結婚すると自動的にすべての兄弟が夫になり、妻を共有する。
ただし、逆に弟が結婚しても、兄がその妻の夫になることはない。
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