萱野稔人『リベラリズムの終わり』読了。
本書は、世界的に批判の対象となっているリベラリズムという政治思想を分析している。
リベラリズムには「機能不全に陥らざるをえない思想的限界がある」という。
わかりやすい例として、今回は同性婚について考えてみたい。
欧州では同性婚を認める国が増えている。
なぜ欧米諸国は同性婚を認めるようになったのか。
その背景を萱野はこう述べる。
たとえ同性婚がこれまでの(男女一対という)結婚の規範から逸脱するものであるとしても、本人たちがそれを望んでいて、(つまりその結婚が強制されたものではなく)、かつその結婚が誰にも具体的な危害や損害をあたえないのであれば、本人たちの自由を尊重すべきだ、という考え方である
萱野稔人『リベラリズムの終わり』(幻冬舎新書、2019年、p23-24)
2015年6月26日、アメリカの連邦最高裁は「アメリカのすべての州で同性カップルは結婚する権利をもつ」と判決を下した。
しかし、この判決が出されると、ロバーツ連邦最高裁長官はこう述べたという。
同性婚を認めると、一夫多妻も同じ議論になる
萱野稔人『リベラリズムの終わり』(幻冬舎新書、2019年、p18)
確かに「他人に迷惑をかけない限り、個人の自由は尊重される」のであれば、一夫多妻も認めてもいいことになりうるだろう。
もしかすると、これから「一夫多妻婚を認めよ」と主張する動きも出てくるかもしれない。
さらには、「結婚できる年齢も撤廃すべき」(日本であれば男18歳、女16歳にならないと結婚できない)という主張について、リベラル派はどう答えるか。
ぜひ納得できるような意見を聞いてみたい。
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