『徒然草』に日本初のアスペルガー症候群の事例が載っている?

精神医療

ASとはアスペルガー症候群のことだが、星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』(2010年、祥伝社新書)に「『徒然草』に記された日本初のアスペルガー症候群の事例」という節がある。

「過去の偉人(坂本龍馬、アインシュタイン、スティーブ・ジョブズなど)も発達障害だった」と同様のこじつけである。

その『徒然草』に書かれている事例を孫引きする。

「この像都は容貌もすぐれ、力も強く、大食で、書を書くことも上手であり、学問・弁説も人に秀れて、一宗の傑物だから、仁和寺のなかでも重く思われていたが、世間を何とも思っていない変わり者で、何でも勝手気ままで、一向に人に従うことをしない。法事に出かけて饗応の膳につく時でも、その座の人々の前に、膳をずっと並べわたすのも待たないで、給仕が自分の前に据えると、すぐに一人だけ食べて、帰りたくなると一人でふいと立ち上がって帰ったそうだ。自分の食べたい時には夜中でも夜明けでも食べて、眠くなると昼でも部屋に鍵をかけて閉じこもるといったわけで、どんなに大切なことがあっても、人の言うことなど聞き入れない。目が覚めたとなると、幾夜も寝ないでいい気持ちになって悠々と歩いたりするなど、世間並みでないところがあるけれども、人に嫌われることもなく、すべて何事にも勝手気ままを許されていた。徳が達していたためであろうか」

星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』(2010年、祥伝社新書)p99-100

これは、新乗院の盛親という高僧の話で、星野氏は「盛親の振舞いはAS(アスペルガー症候群)そのもの」と述べている。

実際にカウンセリングもせず、ASだと判断できるのであれば、精神科医なんていらない(カウンセリングをしても、診断結果は精神科医の主観で決まるので、元から信用できないが)。

むしろ、「昔からこういう人はいたのだから、何でもかんでもASと決めつけるのはよくない」という論も成り立つ。

「精神医学は科学ではない」

これは、多くの精神科医が認めることではあるが、多くの人は知らない。

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